『薩戒記』写本の調査

一九九四年三月一五日から一八日まで、秋田県立図書館および東北大学図書館に出張し、所蔵の『薩戒記』写本を調査した。この調査には、本所所員尾上陽介も同行した。『薩戒記』については、熊野・神宮文庫・蓬左文庫・京都府立総合資料館・大阪府立中之島図書館・大和文華館においても調査を行ったので、当該箇所をご覧いただきたい。
 ○秋田県立図書館所蔵本(丁/一六)
応永八年(一・閏一・二・三月、ただし『迎陽記』の混入)、応永三二年(一・二・四・六・八・一〇・一一・一二月)、応永三三年(三・四・五・八・九・一〇月)、正長元年(八月)、正長二年(一・二・三)、永享一〇年(一二月)、薩戒記部類抄、直物
・各冊とも「萬里蔵書」の印あり。万里小路家旧蔵本と思われる。
 ○東北大学図書館所蔵本(狩野文庫 第三門 二六四〇七)
応永三二年(一月下・四・九月)、応永三三(七・八・九月)、正長元年(八月)、正長二年(一・二・三月、「葉室庫」印あり)、永享元年(一〇・一二月)、足利義教左大臣拝賀記(永享四年八月二八日・一二月九日)、薩戒記部類私要抄、薩戒記部類抄叙位部(「広橋蔵書」印あり)
・各冊の筆致、表紙の装帳は異なる。
                            (田中博美・榎原雅治)

『東京大学史料編纂所報』第29号